採択理由
 この取組は、長崎短期大学の「日本人の誇るべき徳性と品格を身につける教育をおこなう」という建学の精神を具現化するために、地域伝統文化である平戸茶道を教養教育の基軸として、全学教職員挙げて実践してきたものです。茶道の精神や文化を理解し継承することを通じて、学生の人間的資質を高めることを目指している点は、現代の短期大学における教養教育に一つの新しい視点を加えるものといえます。学生・教職員・環境すべてが変化し続けてきた中で、30年間不易の理念を堅持し、取組を継続してきた熱意と努力、また茶道を通じて地域貢献、国際交流などを実現してきた成果は高く評価されます。茶道という特殊性は別として、確固たる理念に基づいて特色ある教育に傾注するという点においては、他の短期大学にとっても参考とすべきものがあります。
 しかしながら、その反面、食物、保育、英語分野の短期大学士課程としての教育が、茶道によってどのように高められてきたのか、狙いどおり学生の精神的陶冶に顕著な効果を発揮してきたかなどといった点について、学内外から客観駅評価を求め、高邁な理念と現実の間に乖離がないか常に点検することも必要と思われます。今後はこうした点にも留意され、短期大学士課程教育の一環としてさらに充実した取組とされるよう期待します。 (審査結果通知より引用)